東の海へ、センチュリーラン

鎧崎(三重県鳥羽市)

 海のない奈良県のサイクリストにとって海の見える処まで走るのはなかなか魅力的なものです。鉄人児玉さんも毎年の様に「東西南北の海へ」と云う触れ込みで走っておられたのですが。自身でも過去に鳥羽、和歌山、新宮、敦賀と一日で走った事はあるにはあるのですが…
 まずは毎年1,2度は走っていて、近鉄電車一本で輪行で帰ってこれる伊勢を目指す事に。車種は今だに先日の「月うさぎキャンプ」の折のキャリアを付けたまま、32Cを履いたままのasuka号は置いておき、復調なったerbaロードで向う事に。

 4時半には桜井をスタート、高見越の和歌山街道を行きますので。R166女寄峠が最短コースにはなるのですが、例によってR165西峠を越えます(写真左)、榛原からほぼ県道31号榛原菟田野御杖線で菟田野へ、松井橋のローソン(写真右)で補給を兼ねて一息入れます、この先コンビニの類は予定のコースでは伊勢近くまでありません。
 R166佐倉峠(写真左)を越え先週来たばかりの東吉野村へ、木津(こつ)峠は新木津トンネルを抜け、お馴染みの高見山を見上げるポイント(写真右)へ、この時間ではシルエットになってしまいます。

 日頃走っているエリアですので少々駆け足で走り抜け約3時間で奈良三重県境の高見トンネルに到着。

 高見トンネルを抜けると三重県、R166は櫛田川沿いに松阪まで続いていますが、東吉野村から東は紀州藩が初期に参勤交替の道として使っていた事もあって和歌山街道と呼ばれています。伊勢街道としての役目は現在のR368に相当する伊勢本街道に一歩譲った様な形になります、険しい高見越より短い間隔で宿場街が続く伊勢本街道の方が好まれたのでしょう。
  R166も昔と比べると随分道が良くなりました、だからと云ってただ駆け抜けるではなく、可能な限り旧道を選んで走る事にしています。まずは峠を下り最初の宿場町だった波瀬(はぜ)に立ち寄ります、現在の道筋より一つ北側の谷筋に位置しますが、車は渡れない様に規制された橋(写真左)を渡り抜けて行く事ができます、静かな集落に入るとタイムスリップした様な風景が。
昨年11月「晩秋の波瀬宿」(動画)

 波瀬の後も幾つか櫛田川に沿った旧道区間が昔のまま残っています、30年程前現役だった道が殆どそのまま生活道路として残っています。 

 あと和歌山街道で外せないのが珍布(めずらし)峠です、櫛田川左岸で蛇行部分をショートカットする峠なのですが、岩盤を深く穿った切り通しが印象的です。

 ロードですので流石に大きな三脚は持ってこれませんが、ゴリラポッドと最低限の「自撮り」の準備はしてきていますので。なかなかコース取りが上手く行かず数テイク撮り直しを。
 旧道や旧街道でもありませんが櫛田川右岸の県道745号片野飯高線に入ります。残念ながら今日は霞んでいますが局ヶ岳と櫛田川の赤い鉄橋と沈下橋の風景がお気に入りのポイントです。
 櫛田川を離れR368桜峠へ、和歌山別街道と呼ばれる街道で丹生大師へ。前回前々回にこのルートを取った際はここでお昼にしましたが、まだお昼前ですので、このまま伊勢を目指します。

 12時半を少し回った頃に 宮川に架かる度会(わたらい)橋を渡って伊勢市街に入ります。外宮前から内宮前まで御幸道路を経由しますが、信号とかが多くなり思っている以上に時間が掛かりますし、土地勘のない人が来ると結構道を間違える様です。
  今回はお昼時までに伊勢にたどり着く事ができたので、久しぶりに伊勢で「伊勢うどん」を頂く事が、平日でも「おかげ横丁」界隈は観光客で一杯、「伊勢うどん」を出すお店はいくつかありますが、自転車を置いておける様なスペースのある店は少なく、やはり内宮寄りの「やまだ」になります、店の横の路地に2,3台なら立て掛けておけます。「手こね寿司とミニ伊勢うどん」のセットで1,050円也。
 後は「赤福本店」で「赤福」を頂いて伊勢を後にしますが「赤福本店」のまわりも自転車を置いておける様なスペースが、五十鈴川に架かる橋の袂にどうにか。台数が多ければ五十鈴川の岸に置いておくのも良いかも、本店の奥から降りる事ができます。ただ夏場の「赤福氷」は確か本店向かいの店でしか出していなかったかと。
 五十鈴川に沿った県道715号館町通線で二見浦へ、ちょっとした裏道で、内宮前の雑踏から脱出する事ができます。
 14時半には二見浦へ、古くからの旅館の並ぶちょっとした観光地に迷い込んだと云う感覚です、最初の鳥居からは自転車を推して夫婦岩の見える場所まで、一応の目標「東の海」到達です。
 二見浦を後にして更に東へとR42を、鳥羽駅前を過ぎて伊良湖行きにフェリーのりばの前からR42はR167となります。ちなみにR42は海上区間を経て伊良湖岬へ、渥美半島を縦断してR1に繋がっています。安楽島(あらしま)大橋を渡り県道750号阿児磯部鳥羽線へ入ります。
 牡蠣で有名な浦村町の湾に架かる麻生の浦大橋、ここまで県道750号ははいわゆるパールロード、県道128号鳥羽磯部線の取り付け道路の様になっていますが、パールロードが開通その後無料化されるまでは、海岸沿いの石鏡(いじか)、国崎(くざき)への唯一の道路で、さらに進むと県道船で有名な的矢(まとや)へと至ります。そのまま麻生の浦大橋を渡るとパールロードに入ってしまい県道750号へ入るにはガードレールを跨がなくてはならなくなるので右側の歩道を走ります。
 平行するパールロードとは対照的な未改良区間が延々と続きます。そう云えば「カニ横断中」の看板見かけなくなった様な。

 

 16時半国崎に到着、県道から漁村の狭い路地を下り港へ、紀伊半島最東端の鎧崎までは自転車に乗ったまま行く事ができます。ただ灯台は背後の高台の上にあり、登って行く事もできますが足元が悪いので、漁港側の神社(伊勢神宮遥拝所)の境内から登るのがお薦めです。ここまで162キロ、久しぶりのセンチュリーランも達成です。

 国崎には何度も来ていますが鎧崎は初めてです、僅かな距離ですので県道750号を走る機会があれば是非。天気が良ければ最高だろうなと思っていたら突然パラパラと雨が、晴れ間も少しあるのですが、急ぎ遥拝所の軒先に逃げ込みます。
 雨雲レーダーを見ると典型的に夕立で、雷の音も聞こえています。雨雲も暫くで消えてしまう予報だったので、収まった処で遥拝所を後にして県道へ戻ります。このまま相差(おうさつ)、畦蛸(あだこ)と的矢と走り近鉄志摩線の志摩磯部駅まで走り抜け帰途に就くつもりなのですが、再び雨が(画像右)どうやら予報になかった第二波に捕まってしまった様です。自動販売機の並んでいる軒先に逃げ込んだ頃にはすっかり濡れてしまいました。
 この先のルートは過去何度も走っていますし、志摩磯部駅へは昨年11月の「赤福~剣峠ツーリング」の折にも行っていて、コンビニで補給も可能です。ただ畦蛸あたりで道が判りにくく、案の定県道47号鳥羽磯部線との併用区間で分岐を見落とし、パールロードの高さまで登ってしまう事に、戻っても決して平坦な道でもありませんし、同じくパールロードの的矢湾大橋の高さまで登り返す事になります。このまま県道47号を鳥羽方面に走ってもR167の五知峠の北、鳥羽側になる松尾駅近くに出てしまう訳で、鳥羽駅まで行くと電車の本数も多少多くなります。。結果的にはほぼ下り基調で鳥羽まで走り抜ける事ができました。
 鳥羽駅まで行くまでに手前にイオンで買い物を、雨で靴下を濡らしてしまっているのが嫌で、それに輪行車中での虫養いを調達するにもコンビニを安上がり、あまけに今日15日はG.G.WAONの日で5%引き、靴下こそ別ですがこれだけ買い込んで611円也、鳥羽まで走って電車賃も節約、ただ輪行ビールを買い忘れたのが。
 国道には出ずに街中から線路の山側の道へ。このトンネルはもしや三重交通志摩線の名残では、私が小学生の頃はまで走っていたのです。ただナローゲージにしてはトンネル断面が大きすぎる様な、近鉄志摩線となる経緯の中で拡げられているのか知れませんね。
 鳥羽駅で輪行支度するには山側のJR側が正解でしょう。JR側と云っても近鉄は橋上駅ですので不都合はありません。asuka号の様にヘッド抜きはできませんので極端にコンパクトにはなりませんが、ロードの輪行は手っ取りばやくて軽くて楽勝、今どきの後輪外さない輪行なんて横着、顰蹙の極みです。ペダルレンチを忘れてきたので代わりに慣れないアーレンキーで裏側から外そうとちょっと頭を捻りましたが。無事に鳥羽駅始発の1932発に乗車、伊勢市で大阪上本町行き急行に接続、21時半には無事に帰宅する事ができました。走行183.7キロ、少々お天気に裏切られましたがasuka号に比べこの距離でもリズムを崩す事なく大満足の走りでした。
 しかし「東西南北の海」が「近畿東西南北端」にしてしまったら後が大変かな、潮岬はともかく経ヶ岬なんでちょっと一日では。

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「東の海へ、センチュリーラン」への2件のフィードバック

  1.  昨日はこのレポートを参考にしてほぼ同じコースを走りました。さすが走りどころ見どころを押さえたとてもすばらしいコースガイドだと思います。ただ地図を詳細にチェックしたつもりでも、丹生大師から県道13号までのルートは難しかったです。
     願わくばかつての「自転車コースガイド」(アテネ書房刊)のようなガイド本を(自費?)出版されるか、HP内にコースガイド集を作っていただけることをお願いしたいです。
     cancanさんファンより

    1. まさか早速コースをなぞって走られるとは。「轍マップ」を詳細にしておけば良かったですね。櫛田川右岸の県道からR368、丹生大師前後が判りにくくて間違いやすのですよね。
       コースガイド集、いざやろうと思ってもなかなか難しいでしょうね。

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