川津今西林道へ

 夕方、今月6度目の芋峠まで往復し「よろづ」へ立ち寄った処、明日は恒例の「グランドフォンド吉野」との事、またまた東吉野へでも行こうかと思っていた処、コース上でハチ合わせるのも何だなぁと思っていたのですが、長玉を担いで入野の桜並木あたり待ち構えるのもいいかも、でも100人も走ってきたら誰が誰だか判らないよね、と思っていた処… UG兄氏から電話が掛かってきて、川津今西林道に行かないかとのお誘い。 川津今西林道は奈良県吉野郡十津川村の風屋ダム湖畔の川津地区から南へ、奈良和歌山県境の護摩壇山(1372m)から東南に延びる標高1000mクラスの山稜を越え国道425号線の玉垣内地区へ下る舗装林道、峠より北側の川津側が長年未開通で、峠から稜線沿いに西に向かい、猪笹林道を経て護摩壇山へ抜ける作業用林道を含めて川津今西林道として、オフローダーの間では紀伊半島有数のロングダートとして知られていました。 私もMTBで紀伊半島のダート林道を走り回っていた頃、何度か猪笹林道側の入り口に立った事がありますが、アプローチも大変な上に護摩壇山からだと30キロを越えるダート路に恐れをなして足を踏み入れる事がないまま、今ではダート路を走る気力も興味もなくなってしまい、紀伊半島に残した未踏区間の一つとなっていました。 数年前には北側区間も開通したのですが、新しく開削された林道は木陰も少なく殺風景な処も多いので興味をそそる事もありませんでした。 2008年にChokoさんがロードで走られて、紀伊半島No.1舗装林道とBlogに紹介しているので、UG兄氏はこれを見られた様です。 誘いに乗ってみたものの調べてみるとスタート地点の標高が思っていたより低く、峠まで正味1000mの標高差です、直登?でこの標高差、健脚のUG兄氏と二人旅ではプレシャーが大きいのでT御大を誘い込みます、これでのんびり走っても退屈させずに待って貰えます。 朝6時にT御大宅まで自走し合流、最強のトランスポーターHiAceに乗り込みます。 コースはChokoさんが走られた南行きではなく、十津川温泉付近にデポして林道を北へ越えR168を南下する時計回りのコースとします。 北側斜面とは云っても新設の北側区間は斜度に緩急がなく、日陰も少ないだろうし、南側は中腹までは集落も残る古くからの道で自転車には登りやすそうです。 加えてR168は南行きで下り基調となります。 デポ地にて、十津川村と云ってもここの標高は150m程しかありません、ここから日本三大酷道の一つR425を龍神方面に少し行きます、そちらは何度も走った道ですが、川津今西林道は正直云ってちょっと憂鬱です。(Photo:T御大) R425を少し走り重里を過ぎて永井の集落、この先でR425と離れて川津今西林道に入りますので、最後の補給ポイントです。たとえR425を辿った処で龍神まで食品は手に入らないと思いますが。 地元のおじいさんと挨拶して話をしていると、鍛冶屋さん、少し見学させて貰います。 後で判ったのですが、十津川村の道の駅でも園芸用の道具が幾つか販売されていて、ネットで「田上鍛冶屋」で検索すると、十津川に残る唯一の村の鍛冶屋ととしてNHKでも紹介されたりと、おじいさんは結構な村の有名人でした。 玉垣内でR425と別れ川津今西林道に入ります。ここにふるさと林道小原永井線の案内板が出ていますが、この林道は十津川村役場のある小原から途中の那知合までしか開通していません。 いよいよ本格的に登りが、ご機嫌なお二人。   十津川村村営バス「今西口」の停留所、一日2往復やってきます。 ここで標高385m、この三叉路を右へ登って行きます。   見上げる様な処に護摩壇山への林道が見えます、あの高さまで登らなくてはなりません。   今西地区は集落と云っても、山腹に数戸が点在しているだけで、標高600mを過ぎる辺りまでは西側斜面のこの様な道が続きます。 南側を見下ろす側のコーナー、眼下には先ほどの永井の集落や、向こうにはいわゆる熊野三千峰を望む事が、ここで標高650m程になりますが、峠まではやっと半分、11時前、時間的にも影も少なくなり、これから徐々に厳しくなりそうなので、木陰を探して暫し休憩する事にします。   最後の1.5キロ程が結構厳しかったですが、12時過ぎにようやく標高1120mの峠にたどり着きました。 ただ峠そのものはモルタルを吹き付けた切り通しやフェンスがあったりと殺風景な処でした。   峠の三叉路は木陰も無いので護摩壇山へのダート林道を少し走って木陰で少しお昼にする事に、UG兄はジェットイル持参、真夏とは云えここは標高1100m、暑いコーヒーを美味しく頂きました。   ダート路を少し走ってみます。 このメンバーでダート路を走るのは2005年の野迫川村の川原樋川林道以来ですね、良く締まった走りやすいダートでした。 北側は風屋ダム湖畔へ下る標高差800mの豪快ダウンヒル、こちら側も路面状態は良く落石の少ないコースです。 ダイナミックさではサンギリ林道の方が上ではないかと思いますが、この様にダム湖を見下ろすコースはなかなかのものです。 50代おっさん3人が入れ替わりお互い写真を撮り合いながら下って行きます。 (Photo:T御大) 川津橋と川津大橋と風屋ダムに架かる新旧の橋が見える処まで下ってきました。 手前の川津橋は今は全面通行止で渡れなくなっていて、R168へ入るには1キロ程も遠回りになっています。 (Photo:UG兄) 川津でR168に入りデポ地の十津川温泉を目指しますが、雷の音が聞こえてきて雲行きが怪しくなってきました、風屋ダムを下る頃にはパラパラと、道の駅まで走り抜けるのは難しいので、風屋花園のバス停へ潜り込みます。 バス停と云っても店仕舞いした商店の店先で、ゆったり座れて近くに自販機、商店、公衆便所、ついでに散髪屋まであります。 40分程でしょうか小降りになるまで暫し雨宿り、お二人は気持ち良さそうにうたた寝する始末。 小降りになった処でポンチョを被って出発、もうフードもいらない程に雨もおさまり、道の駅ではポンチョも脱いで、滝を過ぎる頃には路面も乾いていました。 十津川温泉で一番素朴な浴場「わらびを」(300円)に入り帰途に就きました。   猛暑の下界を離れて、恵まれたコースを快適に走れた一日でした、UG兄さん往復の運転有難うございました。 コース上での走行距離約63キロ。