二つの丹生川を遡る ②


 
奈良県吉野郡下市町谷(旧丹生村) 丹生川河畔 県道赤滝五條線

 県境の無名の峠を下ると元の西吉野村永谷、ここでは道路沿いに何段にも組まれた「はぜ場」に「はせ掛け」が行なわれています、狭い谷あいの田圃ゆえの風景です。始まったばかりですが、全てに掛かると壮観でしょうね。
 R168に出て少し五條側に下り、西野トンネルの手前で旧道へ入り、先月も立ち寄った西吉野大滝へ。いつも往路ですが、今日は時間の余裕もあるので「自撮り」に挑戦。
 五新線の遺構の鉄橋が残る宗川野へ下り、再びR168を少し走り城戸へ。
 丹生川沿いに県道20号線下市宗桧線から県道138号赤滝五條線へ。車が少なく緩やかな勾配の続く川沿いの快適な道、今年走るのはもう何回目でしょうかね。


 旧丹生村域となる下市町へ入り、丹生小学校跡で小休止。
 丹生川上神社下社。川上村にあるのが上社、東吉野村にあるのが中社、長い間通行できなかった高原洞川林道も復旧したそうですし、3つの丹生川上神社を巡るサイクも面白いかも知れませんね。

 少しR309を走ると黒滝村、丹生川は黒滝川と名前を変えます。道の駅「吉野路黒滝」今日は走ってきたコースで一番騒がしかった様な。
 予定では地蔵トンネルから才谷、吉野山経由で帰途に就こうかと考えていたのですが、丹生川の名前もなくなった事ですし、粟飯谷(ほしいだに)から法者トンネルを経て広橋峠へ向う事に。法者トンネルのある場所は柿峠、法者峠(伏拝峠)と称される由緒ある大峯参詣道の峠ですが、平成6年になって車道が開通しました。
 旧々道を広橋峠へ。民家のない笠木峠とは異なり、広橋トンネルが開通した今も路線バスはここの激坂を登っています。



 広橋峠を下り千石橋南詰まで出たものの、結局は吉野川左岸の県道39号五條吉野線を上市橋まで遡って裏芋へ入ったので、吉野山経由の方が楽で早かったかも。千股で一息入れているとロードが2台、少々お疲れのご様子「大台」の帰りかな。少し間隔をおいて着いて行きますが、さすがに早いとてもasuka号では着いては行けません、半分位までで見えなくなってしまいました。千股から芋ヶ峠まで30分切り、私には上等です。夕暮れの飛鳥を走って無事に帰投、本日の走行150.0キロ。桜井からの周回コースですから、結構な距離になりましたが、大阪の方なら輪行で来て、南海高野線九度山駅から近鉄吉野山駅まで走るのも良いかも。

 

二つの丹生川を遡る ①


 
和歌山県橋本市北宿 丹生川河畔 国道371号線

 今日は奈良県と和歌山県それぞれにある丹生(にゅう)川沿いの道を遡るサイクリングに出掛けました。「丹生川」と云う名の河川は全国に十以上もあって、「丹生」と云う地名も数多く存在しています。近畿では奈良、和歌山、滋賀、三重県に丹生川が流れていて和歌山県と滋賀県には二つの丹生川があります(厳密には和歌山県の日高川水系の丹生川(丹生ノ川)は上流域が奈良県に入っている)。今日巡るのは何れも紀の川水系で、和歌山県高野町富貴を源に九度山付近で紀の川に流れ込む丹生川と、奈良県吉野郡黒滝村から下市町(旧丹生村)を経て旧西吉野村から五條市で紀の川(吉野川)に至る丹生川です。処で丹生の「丹(に)」とは主に水銀の原料となる硫化水銀を含む「辰砂(しんしゃ)」を意味し、丹生とはそれらを産出する地域や、生産を生業とする人を意味します。水銀は古代から顔料や金鍍金、実は毒なのですが薬としても重用された重要な鉱物資源であった訳です。
 サイクリングのコースは九度山をスタートし丹生川沿いに橋本市宿(やどり)、高野町筒香(つつが)を経て富貴(ふき)へ、奈良との県境になる峠を越えて五條市西吉野町永谷へ、少しR168を五條側へ走り西野トンネルの手前から旧道へ入り、先日も立ち寄った西吉野大滝を経て、城戸(じょうと)から奈良県の丹生川沿いに黒滝村まで遡るプランです。
 暗い内0410に桜井を出発、しかし随分と陽も短くなったものです、勝手知ったる道とは云え、重阪(へいさか)峠はまだ真っ暗です。五條新町のローソンで補給後、紀の川左岸の県道55号橋本五條線を、橋本橋南詰からはR370となります。
 今日は九度山の道の駅に寄らずにそのままR370を高野山方面へ、丹生川沿いに2キロ程走ります。(写真左)は近代化産業遺産に指定されている南海高野線の丹生川橋梁。赤瀬橋の交差点で県道102号宿九度山線へ入ります、この県道は長らく通行止になっていたり、奈良県側からは狼頭(ろうとう)峠でショートカットできるのでずいぶんと久しぶりです、調べてみると2009年6月の「峠おやじ弐千峠達成記念サイク」以来かと。玉川峡と呼ばれる渓谷沿いの道は爽やかです、ただこの時間では陽射しが入らないので写真的には、「自撮り」のポイントを物色しながら先を急ぎます。かなり山深いところですが南朝所縁の土地でもあり、kimotoshiさん御用達のキャンプ場「どーむびれっじ」へ渡る吊り橋は「御陵橋」だったりします。
 再び橋本市域に入りR371へ、「やどり温泉いやしの湯」のある北宿を経て、河合橋で高野町となり町道筒香線へ入ります。
 下筒香、中筒香の風景。現在は高野町ですが、昭和33年までは富貴村でした。標高500m前後の土地で既に稲刈りが始まっています、この辺りは小規模な兼業農家ばかりなので、稲刈りのできる休日は賑やかで、大変な手間なんでしょうが「はさ掛け」で天日干しが行われています、籾で乾燥させるより美味しいのだとか。

 上筒香で県道733号高野川津線へ、ここの三叉路にあるバス停は「野迫川口」となっています、和歌山県でありながらかつては奈良交通のバスが通っていた地域です。(写真は縦方向にデフォルメしてます)
上の写真を撮った上筒香のお堂にて。今朝五條で仕入れておいたコンビニ弁当で、稲刈りの風景を眺めながらちょっと早いお昼にします。



 出屋敷辻で県道732号阪本五條線へ入り、東富貴から奈良県側へ越えるのですが、少し富貴の村へ寄り道、「ふきのやきもちカフェ」が開いていましたので「やきもち」を、どちらかと云うと薄っぺらな今川焼きなんですが。オムライスが美味しそうだったのですが、筒香で弁当をたいらげたばかりなもんで。次の営業日は9月24日だそうです。
 玉川峡を経て高原の盆地へ筒香、富貴と素晴らしい日本の里山風景が続く中を走ってきましたが、富貴からは現在は五條市となっている西吉野村永谷を越える峠道へ、自転車で走るのは初めてです。北側に金剛山や五條の街を見下ろす標高668mの峠ですが峠の名や標識の類はありません。峠を下ると奈良の丹生川の支流宗川流域に入ります。(②へ)