奈良県下、特に国中と呼ばれる奈良盆地をスポーツサイクルで走っている人なら多かれ少なかれ自転車道のお世話になっていると思います。 まぁ中には障害物の多い自転車道を避けて一般道を自動車とせめぎあいながら走る人もいるかとは思うのですが、あえて云えばそんなに使い勝手の良いものでもありません。 ところで県下には現在3つの自転車道が設定されている訳ですが…
その奈良県の自転車道ですが、奈良県における広域的な自転車利用ネットワーク「ならクル」をはじめ県の案内によりますと「奈良自転車道」「大和中央自転車道」「飛鳥葛城自転車道」の3つが挙げられています、ところが実際に走ってみると「奈良西の京斑鳩自転車道」「大和郡山田原本橿原自転車道」「明日香大和郡山自転車道」と云った聞きなれない名称の自転車道の標識が現れます。
これには本名と云って良いのか「奈良自転車道」は奈良県道266号奈良西の京斑鳩自転車道線(添付図赤線)、「大和中央自転車道」は奈良県道273号大和郡山田原本橿原自転車道線(添付図青線)、「飛鳥葛城自転車道」には奈良県道274号明日香大和高田広陵自転車道線(添付図緑線)と云う道路法に従って認定された正式名称がある事に起因しているためなのですが、他所から走りに来た人が案内標識を頼りに走っていると戸惑う事でしょうし、不親切以上にかえって混乱させる案内標識なのです。
その上場所によってはこんな事も、なければ全くない自転車道の標識、ある処には異なる表記で並んでいる、無駄と云うか違う名称で予算の二重取りでもしているのかと疑われても仕方ありません。
ところでその自転車道、実際のルート設定はどうなんでしょう、奈良公園から平城宮跡を経て法隆寺を結ぶ奈良自転車道(奈良西の京斑鳩自転車道線)はまぁ良しとして、大和中央自転車道(大和郡山田原本橿原自転車道線)や飛鳥葛城自転車道(明日香大和高田広陵自転車道線)は意図が理解できません。 自転車道ですから目的を決めずのんびりポタリングを愉しむ人もおれば、トレーニングにと行ったり来たりする人もいるでしょう、しかしあくまでも道なのですから、目的地を結んで行くのが本来の形でしょう。 私が見聞きする範囲では奈良県北部や大阪方面から見所の多い橿原市や明日香村、また吉野方面へのアプローチとして自転車道を利用する人の多くは、御幸橋から曽我川沿いの飛鳥葛城自転車道へ一旦入るものの保橋で県道<36>天理王寺線を少し走り保田橋で飛鳥川沿いの大和中央自転車道へ入り、橿原市今井町界隈(厳密には四条町)で再び飛鳥葛城自転車道に戻っています。 大和中央自転車道の起点の県浄化センターから保田橋にかけては盲腸の様なもので私の知る限り利用者も皆無で、また田んぼのあぜ道を舗装しただけの様な処もあります、また飛鳥葛城自転車道の大和高田市域と先の橿原市四条町付近までは高田バイパスの高架下の側道で決して走りやすいコースとは云えません。 と云う状況から利用者は自然と最良のルートを選択している訳です。 自転車道策定の段階で何故無駄のないルート設定ができなかったのでしょうか、無駄があると云う事は税金が有効に使われていないと云う事に他ならないのです、どう見ても格好さえ整えておけば良いと云ったお役所仕事が見え隠れしてきます。
予算あっての事ですから未整備区間がある事や、長期的な周辺の整備計画や開発計画もある事でしょうが、橿原市今井町付近の様にルートが判りにくいにも拘わらず案内標識が途切れてしまう箇所があると思えば(写真左)の様に無駄に標識が並んでいる箇所も少なくありません。
当然道路なんですから維持管理も必要です。 最近高度成長期に造られたトンネルや橋梁の多くが老朽化してきていて問題になっていますが、自転車道も造ってやったぞみたいな感じで後はほったらかし、維持管理する予算もないのか草ぼうぼうでほったらかしと云うケースも時々見られます。 別にこれは奈良県だけに限った事ではなく、和歌山県道<801>白浜日置川自転車道線の様に廃道寸前みたいな処もありますが、大阪府の南河内サイクルライン(いわゆる石川サイクリングロード)や京都府の嵐山八幡木津自転車道の様にちゃんと整備維持管理されている処もあります(羽束師橋以北の案内は不十分だとは思いますが)。
決して何もかもほったらかしとまでは云いません。 写真は飛鳥葛城自転車道の「おやなぎ橋」です、以前はご覧の様にクランクカーブに急坂で大きな段差、まるでこけてくれと云わんばかり、案内標識に気をとられでもしたら見事なトラップです。 もちろん現在では補修されていますが、僕の様な天の邪鬼から見れば誰か転倒して怪我でもしたから改修したのかなと想像してしまいます。 本来は自転車道として設定された時点で整備されていなければならないはずです、利用者すなわち自転車に乗る人の視点に立っていないと云う事はこう云った事でもあきらかです。
【余談】(写真左)奈良県道助命下萩線の正しい路線番号は245号である、山添村助命(ぜみょう)と都祁村(現奈良市)下深川の2ヶ所で間違いを見つけ県に報告、後日再訪した折には直されていた。 (写真右)は2009年12月14日に県道155号多武峰見瀬線が供用される前日の写真、従って多武峰方面への案内がマスキングされているが、Y字路の左方面は15号ではなく155号である。 安全や利害に関係する道路標識に対して案内標識に対して興味や注意を払うのは一部のマニアだけなのかも知れないが、故なのかこの様に自転車道の名称然りやっている事がエエ加減なのである、当然これらの訂正にはそれなりの費用がかかっただろうし、間違えた部署なり業者が費用を捻出したのだろうが、場合によっては税金が無駄に使われていたかも知れない。